ISAs (所得分配契約) について

ISAsとは

ISAs は Income Share Agreements の略称で、日本語に直訳すると所得分配契約です。

ISAsは、米国で生まれたスクールと受講生の新しい契約モデルで、受講開始から卒業までの期間は一切の費用が発生しない代わりに、一定の条件をみたした場合に卒業後の収入から一定割合をスクールに支払うという内容の契約です。学生が多額の学費ローンを抱えることが社会問題となっている米国では、職業訓練から大学まで様々なスクールがISAsを採用し始めており、2019年7月に奨学金に変わる新たな選択肢として合衆国連邦法にISAs法案が提出されています。

背景

アメリカでは高等教育機関における学生ローンの仕組みが長年問題となっていた。日本に比べアメリカでは、高等教育機関の学費が高く一般に学生は奨学金等の制度を用いて学費を払う。しかし、中退リスクを生徒が全額負担しなければいけない点や利子が高額である点、返済が長期にわたる点などの問題を抱えていた。これらの問題を解決するために考案されたのがISAsである。ISAsの起源は比較的古く、一番最初にその言葉が提唱されたのは1955のMillton Friedmanの論文「Role of Government in Education」である。彼は論文の中で、学生や一個人であっても企業のようにエクイティファイナンスができる必要があると問題提起し、その解決策の一つとして自分の将来の収入を株に見立て、その一部を投資家に渡すことで現在のキャッシュフローを生み出す方法を提案している。

その後はFriedmanの提案を元にいくつかの期間が画期的な奨学金制度を提案しようと様々な試みを行ってきた

1970年にはイェール大学がFriedmanの提案を一部修正し、制度に取り入れた。イェール大学は個人と契約を結ぶのではなく、複数人の学生で構成された集団と契約を結んだ。そして、その集団全員の債務が完済しきるまで全員に返済の義務が生じるように契約した。(例えば、学生一人当たりの教育費が300万だったとして、100人と契約を結ぶ場合、卒業後に100人で3億円を返済しきるまで返済義務が生じる。)しかし、このシステムは高収入の学生が低収入の学生の返済を負担する形となり高収入の学生から不満が高まったためうまくいかなかった。

2013年には、オレゴン州議会が大学の授業料を後払いするシステム「Pay It Forword」を大学の融資手法の一つとして認めた。しかし、ISAsとは違いPIFは公的な資本からの融資であり、金利も全ての機関で一定でなければなかった。

オレゴン州が大学でのエクイティベースの奨学金の貸与を認めたことが議論を呼んだ。(“A Future With Zero Education Debt”)

 

2014年4月9日 上院議員マルコ=ルビオはISAを全米に普及させるための法整備に着手することを公表した。

 

特徴

金銭的制約を受けずにスクールを選ぶことができる

現在の経済状態を気にすることなく、教育サービスを選ぶことができる。

スクールと受講生の間で適切にリスクを共有できる

受講生が中退した場合やスクールが提供する内容と関係のない職場に転職した場合は受講生に支払い義務は一切発生しない。また、受講生の卒業後の年収を高めるようにスクールもサービスを提供する必要があるため、従来の支払いモデルよりも両者がリスクを共有した状態になる。

支払い上限と最低年収の保証がある

ISAsには支払い上限が存在し、一定の額まで返済が終わった場合はISAsの契約期間内でも支払いを終了する場合があります。また、一定の年収に満たない内はISAsの支払いが開始しないため、最低限の生活が保証されています。

スクール卒業後もサポートを受けられる

ISAsは卒業後の年収に応じて支払い額が変動するため、スクール側に卒業生のキャリア形成をサポートするインセンティブがはたらく。

米国におけるISAsの導入事例

米国ではプログラミングブートキャンプからISAsの導入が始まり、今では大学にも採用されています。

Lambda School

9〜18ヶ月 のコードキャンプWeb開発からUXデザインまで幅広くコースを提供している。

OnDelta

12週間のオンラインマーケティングプログラムを提供し、IT業界への転職を支援する。

MakeSchool

コンピュータサイエンスに特化したコードブートキャンプ。卒業すると実際に学位が与えられる。

General Assembly

デザイン、マーケティング、エンジニアリングと幅広く学ぶことができことが特徴のスクール。オンラインとオフラインの両方のプランがある。

Kenzie Academy

ソフトウェアとUXのカリキュラムに注力したエンジニアリングスクール。オフラインとオンラインに対応。

4Geeks Academy

マイアミを中心にコードブートキャンプ。空き時間の学習に最適化されたカリキュラムが特徴。

9

V School

人間中心のUXデザインを教えるEdutechスクール。
ソルトレイクシティに本部を置く。

Thinkful

実務レベルでセールスを学ぶことができるスクール。

米国における法整備

2019年度米国議会において以下の法案が審議中である

ISA Student Protection Act of 2019

ISAsの懸念点

  • 搾取になりうる
  • 低収入な仕事に対してはISAsプログラムを当てはめづらい

日本版ISAsポリシー