LABOT、「学費の出世払い」を国内・海外の様々な分野の教育機関に導入支援する「ISAプロバイダー事業」を通じ、金融分野に参入へ。

〜国内における、ISA産業の健全な立ち上がりを目指す業界団体の設立を見据えた準備委員会を設置〜
国内初のISA(Income Share Agreement、「所得分配契約」)を支払いモデルとして採用したプログラミングスクール「CODEGYM」などを運営する株式会社LABOT(東京都渋谷区、代表取締役 鶴田浩之)は、自社スクールでの過去2年間の卒業生の輩出実績やオペレーションのノウハウをもとに、今後は自社スクールに限定せず国内外のさまざまな教育機関がISAを選択可能とする、ISAのプラットフォーム構想(以下、「ISAプロバイダー事業」)を発表し、今後のコーポレート・ファイナンスを経て、中長期的な経営構想として金融分野への参入、アジア市場への展開を行うことを決定いたしましたのでお知らせいたします。
2022年度中に実証実験を行うにあたり、ISA参画に関心のある教育機関との連携を模索いたします。
「出世払い」とも表現される、教育機関の新たな支払い方法 ISAとは?
ISA(Income Share Agreement)とは、教材や学習機材など一部の実費を除き、在学中の学費や入学金等の初期費用負担は一切ない代わりに、卒業後に就職した企業の年収に応じて支払金額を決定するモデルであり、所得による教育格差を是正する方法として米国を中心に、世界各地の教育機関やブートキャンプで採用されています。
入学金や学費の前払いが一切ない代わりに、卒業後に希望する職種への就労が実現した後、一定期間(CODEGYMの場合は30ヶ月間)、月額給与の一定割合(CODEGYMの場合は10%)を支払う義務が発生します。学習を始めた初期に挫折してしまったり、転職に成功しない場合には学費の支払い義務が発生しないほか、たとえ就職できた場合でも、ISA規定に定める年収ラインを下回る期間や、病気や怪我、介護、育児等の何らかの事情で給与を得られない期間がある場合、ISAにおける支払いは猶予され、金利は発生しません。
このモデルは「出世払い」とも呼ばれ、米国のISAプロバイダーやブートキャンプ(教育機関)各社が、 ECサイトの普及とともに世界で利用者が急増し注目が集まる決済方法「今買って、あとで支払う=Buy Now Pay Later(BNPL)」になぞらえ、ISAサービスを「Learn Now Pay Later(LNPL)」「Study Now Pay Later(SNPL)」という別称で認知を高めようとする動きも広まっています。
さらに昨今では、世界的パンデミックの影響もあり、「学び直し(リカレント教育)」を経て、非正規から正規雇用へ、異業種へのチャレンジ再就職を目指す方が増えています。ISAでは成功したあとに学費が発生する契約のため、高額な学費ローンを借りる金銭的リスクを最小限に抑えることができます。スクールのキャリアカウンセラーや提携するエージェントによる高い就職決定率とともに、望むキャリアの実現までをサポートし、さらに離職などを防ぎながら長期的なキャリアの視点にたった支援が行うことができ、スクールと学生の間では「リスクと成功」が共有されるモデルとなります。
ISAを採用した教育機関の2年間の運営ノウハウをもとに、プロバイダー事業を新規創業へ
2019年に創業したLABOTでは、「人の可能性に投資する」というビジョンを掲げ、長期的な経営構想における第一弾として、ISAを採用したエンジニア養成スクール「CODEGYM」を運営しております。また、就職活動を控えた学生の新卒エンジニア就職を支援する「CODEGYM Academy」では、2021年度の春/秋入校あわせて1,000名以上のエントリー、638名の入校がありました。コロナの影響を受けた学生支援のため、無償での開校を実現するために40社を超えるIT企業の協賛ならびに自治体による後援、クラウドファンディングによる支援をいただきました。
ISAによる支払手段を教育機関が採用するためには、法務(受講契約書や支払いに関する約款等)や会計、税務面での煩雑な手続きが必要になるほか、何よりスクールを卒業後、2年〜3年といった長期間にわたって学費の支払いを受けるため、提供企業・教育機関側としては財務キャッシュフローの問題が最も懸念されるものとなります。これらのことから、ISAには非常に高い参入障壁があり、国内では、継続的に投資家の出資を受けて行われる法人でのISAの参入例は、当社を含め2例しか確認できておりません。
ISAプロバイダー事業では、日本・海外(アジア)の教育機関に対し、ISAの運営ノウハウをSaaSとして提供するとともに、将来的にはISAの教育ファンド※ を通じた資金繰りを支援する金融の機能を目指します。
テクノロジー領域にかぎらず様々な分野の教育機関でもISAが選択できることで、地球上の誰もが、平等な教育機会を得られる社会の実現を目指します。
※構想中の段階であり、必要なライセンス等の取得などは2022年以降順次行ってまいります。
ISA産業の健全な立ち上がりを目指す業界団体の発足へ、準備委員会を社内に設置
また、ISAの国内外情勢の最新ニュースのほか、考察、事例研究、投資・スタートアップ動向などの情報発信を目的とした “ISA研究会” マガジンを、本日から note にて開設し、開始いたします。
関連リンク: ISA研究会マガジン|https://note.com/labot/m/m8cd5ac1c0450
再就職を支援する必要性
厚生労働省が4月30日に発表した2020年度平均の有効求人倍率は1.10倍となり、前年度を0.45ポイント下回りました。これは1974年度以来46年ぶりの大きさで、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、非正規の就業者数の減少が顕著です。20年度の完全失業者数は198万人で36万人増え、増加幅はリーマンショックがあった09年度(68万人)以来の水準となります。
20代や30代の若い労働力の失業も目立ち、また、大学の学費が捻出できないといった事例があります。(参考文献:日本経済新聞「有効求人1.10倍、20年度46年ぶり下げ幅 失業率2.9%」2021年4月30日 8:37) こうした社会背景を受けて、LABOT では、ISA を念頭においた学生のキャリア支援プログラムも開始しております。
2021年5月からは「CODEGYM Academy 2021年コロナ学生緊急支援」を、10代へのプログラミング教育支援を行うNPO法人 CLACK と共同主催し、コロナ禍で経済的な問題や、学習・進路に影響を受けた高校生・大学生 503名が、2021年5月15日に当スクールに入校しました。
これから毎週土曜日に講義を行い、半年間にわたってプログラミング教育を無償提供いたします。
※40社以上のIT業界を中心とするスポンサー企業の協賛金およびクラウドファンディングで100名を超える支援者によって実現
ISA が普及するアメリカでの動向は
アメリカの連邦準備委員会による2020年の第三四半期における最新の報告書によると、4,470万人 を超える米国人が、総額で 1兆7000億ドル(約180兆円)もの学生ローンを借りています。アメリカでは、すでに40を超えるブートキャンプがISAを採用しており、その分野もエンジニアに限らず、UXデザイナー、インサイドセールス人材、デジタルマーケター人材、パイロット人材の育成学校など様々です。また、州立大学など公的教育機関でのISAの導入も行われています。
インドやアフリカ諸国での動向は
数年前にアメリカで普及し始めたISAは、現在、インドを中心にアジア各国での広がりを見せています。インド・グルグラムに拠点を置く、Geeksterは、急騰する国内でのIT人材の需要を受け、直近の6か月間で1000名のIT人材の輩出を行うことを発表しました。
Geekster は、ISAを用いて、フルスタックのWeb開発に特化したオンライン講座を展開する、Edtech企業で、直近では300名のIT人材を育成した実績があります。今回の事業拡大に先駆けて、同社は従業員数を1.5倍に増やす計画を立てており、インド国内で急騰するIT人材へのニーズと、Edtech並びに、Upskilling産業のプレゼンスの高まりを色濃く反映する事例になっています。
また、アフリカ各国でGAFAMなどの巨大外資IT企業による優秀なエンジニアの引き抜きを受け、上中位層エンジニアの深刻な人材不足を埋めるべく、中堅・若手エンジニアを育てる事業戦略を打ち立てているのナイジェリア発のEdtech「AltSchool」は、ISAを用いたマネタイズを行っています。
2021年10月に創業した同社は、オンラインでソフトウェアエンジニア養成講座を提供しており、アフリカ圏の学生に向けて、フロントエンド・バックエンド・クラウドの3つのカリキュラムを提供しています。4月から新規開講予定のソフトウェアエンジニアコースには、現状8000人が申し込んでおり、ナイジェリアのみならず、ガーナ、ウガンダ、ケニア、ボツワナをはじめとする14のアフリカの国々から学生が集まりました。
ISAプロバイダー事業の参入にあたっての代表取締役 鶴田浩之からのコメント
過去2年間、プログラミング教育事業を通じて1000名を超えるお客様のカウンセリングを担う中で、「エンジニア転職では難度があるが、士業など別の教育ジャンルにおける学びなおしを支援」というお客様との接点が、多数ありました。エンジニアとしての学びは容易なものではなく、高度なスキル習得や、学び続ける力が必要です。一方で、少しでも良い職に付きたい、給与をあげたいといったニーズに応えるために、異業種からの新たなチャレンジを行う、という全ての瞬間におけるお金の悩みを解決出来ないだろうか、と思案していました。昨年秋の門前のCFO就任とともに、かねてより構想していたISAプロバイダー事業を本格化させることを決意し、各国の状況など一定の情報が集まった中、この度の発表にいたしました。 お金の悩みによって新たな挑戦を諦める、ということを無くしたいという思いから、引き続きこの事業に専念してまいります。奨学金の問題について検討を重ねられているような既存の学校教育関係者、またはEduTech x FinTech の新たなビジネスモデルの構想において、投資家・金融事業関係者等からのお問い合わせをお待ちしております。

採用情報:全職種、オープンポジションを含む採用実施
https://labot.inc/recruit/
オンライン会社説明会を開催予定です。ご参加いただける方は、以下よりお申し込みください。
日時:2022年3月31日(木) 19:00~20:00
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